* 登録文化財第210号・益山 春浦駅舎 *
益山(イクサン)春浦(チュンポ)駅舎は全羅北道(チョルラプクド)益山市(イクサンシ)徳実里(トクシルリ)にある旧駅舎です。春浦駅の駅舎は2005年11月11日に登録文化財第210号に指定され、現在、韓国鉄道公社(KORAIL)が所有しています。
益山・春浦駅舎は1914年に建てられた最も古い駅舎で、スレート葺きの切妻屋根の木造建築物です。
春浦駅は当初、大場駅という名称で、益山(当時の駅名は裡里=イリ=)と全州(チョンジュ)を結ぶ全羅線(チョルラソン)の普通駅として開業しました。
当時、駅の近くには日本人経営の農場がつくられ、大場村という日本人移民の村ができたため、日本人が多く利用する駅の一つでした。大場という名称は日帝強占期につけられた地名で、広く大きな野原があったことから日本人が名づけ、村の名前も大場村となりました。
1996年に春浦駅と改称、1997年には駅員配置簡易駅へと格下げになり、現在は隣駅の参礼(サムネ)駅の管轄となっています。
駅前広場側の入口の上にはキャノピー、線路側の出入口には直角に交わる直交型切妻屋根が線路側に突出する構造となっているなど、群山(クンサン)臨陂(イムピ)駅の駅舎とともに、日帝強占期当時の典型的な小さな鉄道駅舎として評価されており、建築的及び鉄道史的に価値がある駅舎となっています。
レール上のさまざまな思い出を抱え、歴史の中へ消えた旧春浦駅舎
全羅線にある、静かな村の旧春浦駅。鉄道駅としての機能を終え、歴史の中へと消えていった旧春浦駅は、現在、文化財としての価値を認められ保存されている旧駅舎です。
旧春浦駅舎は日帝強占期の辛い歴史そのもので、その当時、駅付近で生産された米をこの駅で積み込み群山へ出荷し、また到着する列車からは農業を行うための物資を降ろし村へと運ばれました。華やかな過去を持つ駅でしたが、現在では旅客営業は停止し廃駅となってしまいました。