慶北奉化郡春陽面にある権進士宅は、かつての風情が色濃く漂う故宅を体験できる宿だ。権進士宅は朝鮮時代の学者、省菴・権喆淵(クォン・チョリョン)の号を取って「省菴故宅」と呼ばれる。建てられてから130年になる建物で、元々は隣村にあったが1880年に今の場所へ移された。春陽木(金剛松)で建てられ、母屋56間、離れ屋3間、門屋9間で構成された豪勢な故宅だ。 権進士宅のソスル大門を通って庭に入っていくと、広々と横に伸びたサランチェが真っ先に目に入る。左側には勉強をするために建てられたこぢんまりとした書室が位置するが、今は「新サランバン」と呼ばれている。権進士宅で客室として使っているのは全部で4室だ。最大5人が泊まれる大きさの大サランバンと小サランバン、4人が泊まれる新サランバン、2人が泊まれる中部屋がある。大サランバンを除いてはすべて薪を焚くオンドル部屋だ。古い建物なので客室の中にシャワー室やトイレが付いていない構造だが、新サランバンは改装をしているので中にユニットバスがある。客室内での調理は不可で、朝食は有料で提供される。ただし、事前予約が必要だ。 権進士宅の近隣には遺跡地や故宅、五日市など、見どころ満載だ。奉化・西洞里東西三層石塔(宝物)、晩山故宅(国家民俗文化財)、四未亭渓谷、覚華山、九馬渓谷などが近くにある。春陽場(五日市)は毎月4日と9日に開かれる。